一觴一詠 酒を詠む

ワインエキスパートの悠です。
30歳で小さいワインのネットショップを起業、現在運営中です。
ブログにはワインに限定せず、日々飲んだ酒をアップしていきます。

ブログ名は【いっしょういちえい】と読みます。
一杯の酒を飲みながら、一つの詩を歌うことです。
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タグ:山廃

木戸泉 総の舞 純米無濾過生原酒 720ml 木戸泉酒造
【2017年1月24日】
木戸泉_450

■テイスティングコメント
外観は淡いイエロー。
香りは穏やかだが、口に含むと、まず感じるのが豊かなミネラル感と、口中を覆い隠す酸味。
生原酒ならではのパワフルな味わいが広がり、後味は切れの良いコクとフレッシュな甘味、追随する旨味。
濃厚で飲みごたえのある個性のある味わい。
 
■概要
産地:千葉県いすみ市大原/木戸泉酒造
酒米:千葉県いすみ市産 総の舞
アルコール:16.5%
精米歩合:65%
酵母:協会7号酵母(近年、華やかな酵母が発見されているが浮気をせず使い続けている)
仕込み水:蔵から5キロほど離れた宮清水という土地の井戸水(中硬水)


1879年(明治12年)に、醤油、味噌、食品等の卸、塩の元売り、漁業等の事業に加えて酒造業を始め、当初の商号は「泉藤」だったが、茨城県に「藤泉」というメーカーがあり、現在の「木戸泉」に改める。
大量生産の高度成長期、調味液で量を増す三増酒のニーズが高まった時代に、防腐剤として使用されていたサリチル酸の危険性に気が付き、防腐剤に頼らず長期間貯蔵できる酒造りに取り組んだ。
「長期間保存してもヘタらない酒造り」へと駆り立てたのは、先代が渡航先の海外で口にした日本酒の味の劣化であり、この先、日本酒が国外で認められるためにも、船便による長期輸送に耐える酒造りを目指したという。
その経緯で、昭和31年から高温山廃モトを導入し、その10年後には成功する。
日本酒も古酒として熟成を重ねることができるようになり、一番古いもので40年を超す古酒が今も熟成を重ねている。
そして50年以上、天然の乳酸の可能性を追求し続け、健康や安全・個性をテーマに掲げて挑む『旨き良き酒づくり』をモットーに今日も醸造を続けている。


※高温山廃モトとは
天然の生の乳酸菌を用いて高温で酒母を仕込む高温山廃酛で、麹菌・乳酸菌・酵母菌の3つの菌がのびのび発酵する酒母造りの手法。
通常8℃のところを、55℃の高温で仕込んでいる。
これは、麹菌がデンプンを糖化する最適温度であり、大抵の雑菌は死滅する。

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雪の茅舎 秘伝山廃 純米吟醸 生酒 720ml 齋彌酒造店
【2017年1月9日】

雪の茅舎秘伝山廃純米吟醸生酒_450

■テイスティングコメント
グラスに注ぐと、グレープフルーツなどの柑橘系のアロマが華やかに香る。
口に含むと、生酒ならではの豊かな米のコクと旨味が押し寄せ、それを山廃由来のミネラリーな酸が分断する。
この酸味の性質で余韻が甘くなりすぎず、半甘で爽やかな喉越しを実現している。
山廃にしては、非常に透明感のある綺麗な酒質であり、抜栓してから三日ほど経過すると、穏やかな印象に変化する。
 
■概要
産地:秋田県由利本荘市/齋彌酒造店
酒米:秋田酒こまちなど
アルコール:16度
精米歩合:55%
仕込み水:蔵内の湧水


齋藤彌太郎が、明治35年(1902年)に創業した。
当時のまま残る住宅、店舗、蔵など11棟が国の登録有形文化財に登録されている。
20年以上前から酵母の自家培養に取り組み、選抜した酵母で独自の香味を生み出し、安定した酒質を醸している。
その際には、異なる種類の酵母が混じらないよう、「もと」と「もろみ」の管理には細心の注意を払う。
「山廃」にこだわり、下記の三点を重要視している。
 
★三無い造り
【櫂入れをしない】
 酵母の働きにまかせて、長い時間をかけてじっくり醸された酒には、まろやかで豊かな風味があります。
【濾過をしない】
 厳選した原料米をゆっくりと半分ほどまで磨き、醸して搾られた酒は、そのまま加工されることなく蔵出しされます。
【割り水しない】
 搾った酒は、水を加えられることもなく、醸された旨み成分がそのまま盃に注がれます。


★のぼり蔵とは
酒蔵は傾斜地に建てられ、高低差が約6メートルある一番上の精米所に米が運ばれ、酒造りが始まる。
敷地内で湧き出す伏流水で仕込まれ、工程が進むにつれて下に移動していく。
登っていった米が日本酒となって下に下ってくる仕組みだ。


秋田県由利本荘市は秋田県の西南部に位置し、秀麗秋田富士・鳥海山麓にひろがる山と川と海のある街で、西は日本海に面し、中心を子吉川が流れている。
流域には「江戸で関とる」と言われた本荘米を産する肥沃な子吉平野が広がっており、気候風土も酒造りに適している。

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